田舎に住む私たちは3人姉妹でした。父母は、世間体を気にして、価値観も頑固で、私たち姉妹にも厳しくあれこれ指導するのが常でした。
姉は、そんな父母に反発し、いつも反抗的で、いさかいが絶えませんでした。私と妹は、そんな関係に震えあがり、両親の言いつけに背くことはありませんでした。
 高校3年の時、4年生の男女共学の大学に進みたかった姉は、両親に短大を勧められました。しぶしぶ受験した姉でした。そして不機嫌に通学しだしました。2年生になったある日、帰ってこなかったのです。家にはしっかり門限があり、8時までには家に帰らなければなりませんでした。反抗心の強い姉ですから、遅くなることはしばしばでした。でも、その日は朝になっても帰ってこなかったのです。次の日学校に連絡しても姉は出席していませんでした。
 両親は、心配して警察に捜索願を出しました。いろいろ詳しく事情を聴かれ、姉は20を過ぎていたこと、また両親とトラブルをおこしやすかったことなどを聞いて、あまり、真剣にはなってくれなかったようです。その後姉のお気に入りの服なども消えて、母が生活費をしまっておいた場所から5万円なくなっていたこともわかりました。
 都会にあこがれていた姉でしたので、覚悟の家出だったのかもしれません。私にも妹にも何も話してはくれませんでした。両親と波風立てず過ごしていた私や妹には、打ち解けにくいものがあったのかもしれません。両親にとっては大きな打撃でした。田舎ですので姉の家出はすぐ評判になってしまいました。20になったばかりの、何の後ろ盾もない小娘が、糸の切れたたこのように消えてしまったのです。心配のあまり、短期間で両親の白髪が増えました。きっと今までの自分たちの姉に対する態度に反省したのでしょう。びっくりするほど、私と妹には優しくなりました。なぜ、こうなる前に姉にもそうできなかったのでしょうか。
 警察からは、「川から仏が上がったのですが、血液型や年齢が姉と一緒なので確認してください。」などと連絡があり、両親は泣きながら出かけたこともあります。でも別人で、私たちは胸をなでおろしました。今でしたら、探偵に頼む、などという手もあったのでしょうが、当時はそういう職業もほとんどなく、またネットもなかったので、調べようもなかったのです。
 3年くらいたったころでしょうか。姉と似ている女性が県庁所在地のクリーニング屋で働いている、という近所の方の情報があり、両親は訪ねていきました。そしたらそれは本当に姉だったのです。家を出てあてもなく、都内に出るほどの度胸もなく、大きな町でぶらぶら歩いていたらクリーニング屋で、従業員募集の張り紙を見て、住み込みで働いていたそうです。姉はやっと帰ってきました。両親とも和解して、今ではお婿さんを迎え、まあ、仲良く暮らしています。こんなふうに話せることができるようになって本当に良かったと改めて思います。

家出人の探し方